2024年12月1日時点での豪ドルの値段は97.64円で、再び100円を突破しました。現在、豪ドル円は上昇傾向にあるので、保有する際には長期的な価格の見通し最新を知っておきたいところですよね。
オーストラリアと中国は、とても深い関係にあるため、中国の今後の経済状況次第で豪ドルの値段を予測することができます。
この記事では、FX取引歴15年のキャリアを持つMoney Agent編集長が中国経済や日本経済について触れながら、豪ドルが5年後・10年後にどのような価格変動を遂げているのかの見通しを予測していきます。
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2024年の豪ドルの動向
2024年12月現在、米国が利上げ局面が終わりつつあり、主要通貨に対する米ドル安が進行しています。この世界経済を踏まえたうえで、2024年の豪ドルの動向を確認していきましょう。
結論から言うと、2024年の豪ドルは、再び上昇すると言われています。
豪州準備銀行(RBA)が理事会で0.25%の利上げを決定したことや、2022年からの利上げ幅は3.75%を超えていることから、インフレ率の上昇が期待できるためです。
また、今後の経済状況次第では金利をさらに引き上げる可能性もあるので、100円を再び超えるなど、豪ドルが再び上昇する可能性は高いと見られています。
2024年の豪ドルで注目すべき3つのポイント
2024年に豪ドルに影響を与えると考えられる3つのポイントを紹介していきます。
- 豪ドル金利と他通貨の金利差
- 原油価格
- 中国経済
それぞれ見ていきましょう。
豪ドル金利と他通貨の金利差
1つ目は「豪ドル金利と他通貨の金利差」です。
直近の為替相場は、米ドルの利上げと量的緩和の縮小が行われたので、主要通貨は売られる相場になりました。オーストラリアは利上げ幅も他国と比較すると緩やかでしたが、豪ドルも売られています。
また、2024年現在のオーストラリアと他国の2年債利回りを確認すると、英国やユーロとの金利差がほとんどなく、逆転する可能性が十分にあります。
英ポンドは世界3位、ユーロは世界2位の通貨なので、これらと豪ドルの金利差が逆転すると、投資家にとっての通貨価値が大きく変わってくるでしょう。
原油価格
2つ目は「原油価格」です。
オーストラリアは天然資源が豊富なことでも知られており、輸出の大半を資源に頼っています。
特に原油価格はオーストラリア経済に影響を与えやすく、豪ドル円の相場を予想するうえでも重要な指標になります。
ただし、2022年に起こったウクライナ危機のような有事の際は、原油価格が急激に高騰することもあるので覚えておきましょう。
中国経済も豪ドルに大きく影響する
3つ目は「中国経済」です。
中国はオーストラリアと関係が深いため、中国経済がどうなるかによって豪ドルの見通しも大きく変わってくるでしょう。
2024年現在、中国はゼロコロナ政策を実施しているので、「中国経済はマイナス成長なのでは」と心配している方もいるかもしれません。
しかし、実は中国経済にとってプラスの状況にあることや、大きな財政政策の実施を控えていることから、中国経済はIMFが予想している経済成長率+4.4%を超えてくると予想されています。
そのため、2024年の中国経済は大きく成長する=豪ドルも上昇すると思っておくと良いでしょう。オーストラリア国内の状況だけではなく、中国に関するニュースにもアンテナを張っておくようにしてください。
豪ドルの見通し【5年後】
豪ドルは、今後どのように動いていくのでしょうか?豪ドルの価格に大きく影響しているのは、以下の2つです。
- オーストラリアの経済状況
- 円安の進行
経済状況が良くなれば、投資家が豪ドルへ多く投資するようになるため、豪ドルは上昇します。また、円安になれば相対的に同じ効果が得られます。
ここでは今後5年間の豪ドルの見通しを、オーストラリア経済と日本経済の2つの視点から読み取っていきます。豪ドルの将来性が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
豪ドルの見通し5年後をオーストラリア経済から予想
オーストラリアのGDPは27年間連続でGDPが上昇し続けていて、安定的な成長していると言えます。
ちなみにGDPとは、Gross Domestic Product(国内総生産)の略称で、一定期間内に国内で産み出された財サービスの付加価値などの総額のことを指します。国の経済規模・景気動向を調べるための目安として用いられることが多いです。
オーストラリアの経済成長率は約1.1%となっており、10四半期連続のプラス成長となっています。今後5年間もこのような経済成長が続いた場合、豪ドルは現在よりも上昇していく可能性が高いでしょう。
中国経済の影響を受けやすい
豪ドルの輸出は、工業製品よりも天然資源のような一時商品の輸出が主になっています。そのため、貿易相手国である中国の経済状況も考慮する必要があります。
アメリカは保護主義の立場を強める一方で、アジア・アフリカとの関係を強めているのが中国です。中国は、現在一帯一路制作を進めており、今後5年間は継続的に衰えることなく経済成長していくと考えられています。
オーストラリア経済は、中国経済が良くなるほど成長していきます。2024年12月現在のレートは97.64円で、直近では107円までの値上がりが観測されています。今後の中国経済の成長によって、さらに上昇する可能性も考えられるでしょう。
経済危機が起こる可能性もある
今後5年間で、リーマン・ショックと肩を並べるほどの経済危機が起こる可能性はゼロではありません。
その場合、オーストラリア経済にも大きな支障をきたすことになるでしょう。実際、前回の経済危機でもオーストラリアドルは大きく価格を落とし、復活まで長い時間がかかっています。
とはいえ、豪ドルの今後5年間の不安要素は経済危機以外にはあまり考えられません。経済危機が起こらない限りは、比較的安心できるでしょう。
豪ドルの見通し5年後を日本経済から予想
続いて、豪ドル円の見通しを日本経済から予想していきましょう。まずは日本経済を確認していきます。
日本経済の動向
最近の日本で起こった大きな出来事といえば、やはり2021年に延期されて開催された東京オリンピックですよね。
オリンピック開催に先立って行われた関連施設のインフラ投資などの公共投資、不動産投資や観光部門の活性化によって、オリンピック景気が日本に訪れると言われていましたが、期待していたほど景気は好転しませんでした。
また、現在は年間1%ずつGDPの成長を見せている日本経済ですが、しばらくすると成長率が鈍化することも考えられます。
さらに、日本は2008年から人口減少が進んでおり、労働人口も減少傾向にあります。当然、人口減少率を一人あたりの生産能力で上回ることができなければ、GDPは減少するため、全体的に衰退しつつあると言えるでしょう。
日本経済の影響は小さい
日本経済は不況だと言えますが、日本経済が豪ドルに及ぼす影響は小さいです。
なぜなら、日本のGDPが鈍化するとしても長期的に影響を及ぼすものではなく、時間が経つにつれて回復していくと考えられるからです。
また、労働人口の減少問題が表面化するのはまだ先の話で、5年以内に事態が深刻化する可能性は極めて低いです。
日本がこのような状況であれば、豪ドルに大きく影響することはないので、やはりオーストラリア経済・中国経済に注目することをおすすめします!
豪ドルの見通し【10年後】
5年後は「経済危機が発生しない限りは安定的するだろう」という結論になりましたが、さらに5年後の「10年後の豪ドル」の見通しを予測していきましょう。
万が一経済危機が発生してしまった場合の豪ドルについても解説したので、長期間豪ドル取引をするつもりの方は是非参考にしてください。
豪ドルの見通し10年後をオーストラリア経済から予想
現在、オーストラリアは27年連続でGDPがプラス成長しています。まずは、オーストラリア経済の状況から豪ドルの動向を予想していきましょう。
中国経済に大きく影響を受ける
オーストラリアのGDPは、中国経済に大きく影響されます。そのため、オーストラリア経済の将来を分析するためには、中国で何が起こっているかを知ることが有効です。
ちなみに、中国は2000年代に驚異的な経済成長を遂げてからというもの、人口過剰と内需拡大に乗じて、さらに成長する余地を残しています。基本的に経済の急成長はどこかで止まると言われているので、非常に珍しいケースです。
中国経済が成長することで豪ドル高が期待できる
今後の中国経済の成長は内需主導で、この先10年間は景気拡大が続くと予想されます。さらに、中国の一帯一路政策が実を結ぶのは2030年以降になり、1.7兆ドルもの投資を生み出すと言われています。
この政策によって、中国がアジアとアフリカの覇者となれば、今後10年間で世界の主導権が米国から中国に移る可能性もあるでしょう。
中国がGDPで世界一の経済大国となると、オーストラリア経済も成長していきます。その結果、豪ドル高につながることは十分考えられます。
豪ドルの見通し10年後を日本経済から予想
今後の日本の最大の問題点として、少子高齢化による労働人口の激減が挙げられます。ここでは、今後10年以内にこの問題が解決するのかを探っていきましょう。
人口減少も労働力不足も進む
国立社会保障・人口問題研究所は、2030年までに日本の人口が2000万人近く減少すると予想しており、「人口の3分の1が高齢者になる」という専門家も存在します。
この人口問題の対策としては、人工知能やロボットによる労働力の代替、移民による労働力の増加などがありますが、すぐに全部を導入するのは難しいでしょう。実際、「日本のIT産業は世界から5年遅れている」と言われています。
また、日本政府は「人口増加に対応するために移民を使わない」と宣言していて、移民学生である技能実習生を活用する方針を立てていることからも、短期的解決は期待できません。
日本のGDPは低下し、円安が進む
先ほど挙げた理由などから、今のままでは日本は高齢者大国として2030年を迎えることになりそうです。
高齢化が進み、労働力が減少すれば、当然日本経済のGDPは減少し続けます。それが明らかになれば、円の信用を失い、国際的な円安が進むことになるでしょう。
その結果、相対的に豪ドル高になると考えられます。
経済危機が起こった場合の豪ドルを予想
また、これからの10年でリーマンショックに匹敵するような経済危機が起こる可能性もあります。過去に起きた経済危機には、以下のようなものがあります。
- 1987年:ブラックマンデー
- 1998年:LTCM破綻
- 2008年:リーマンショック
このように、経済危機は10年ごとに起こっていますが、2021年以降は大きな経済危機がないため、今後10年以内に危機が起こる可能性が非常に高いです。
もちろん、過去の教訓から金融規制も進化しているものの、仮想通貨などの新しい金融サービスも登場していることからも、起こりうる経済危機の全てに対策するのは難しいでしょう。
経済危機が発生した場合、豪ドルの価格が最大で50%下落し、現在の価格を下回る可能性もあります。経済危機が起こりうることを覚えておくだけでも、経済危機発生の兆候にいち早く気付いて対応できる場合がありますよ!
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豪ドルの見通しに関するQ&A
豪ドルやばいって本当?まとめ
豪ドルの今後の動向について、中国経済や日本経済の影響を踏まえたうえで、5年後・10年後に分けて解説してきました。この記事の要点をまとめたものがこちらです。
- オーストラリアは、今まで27年連続でGDPが上昇してきたのと同様に、継続的な成長が見込まれる
- 日本経済は、豪ドルへの与える影響が小さい&後退したとしても円安による豪ドル高が発生する
- 中国経済がアジアやアフリカ地域に進出することで豪ドル高が見込める
このような理由から、経済危機が発生しない限り、今後5年間・10年間で豪ドル高が進んでいくと考えられます。
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